放置するとどうなる?デジタル遺産トラブルの実例

〜経営者が最も陥りやすい“見えないリスク”〜

デジタル化が進んだ今、会社のあらゆる情報はクラウドやアカウントに保存されています。
便利になった反面、経営者がデジタル資産を整理せずに放置すると、突然 “会社が止まる” 事態につながります。

ここでは実際に起きやすいデジタル遺産トラブルを、経営者視点でわかりやすく紹介します。


■ 1:銀行口座・会計ソフトにアクセスできない

→ 資金移動が止まり、給与振込も請求処理もできなくなる

経営者の急病や不在時に最も多いのが「オンラインバンクのログイン不可」です。
特に中小企業では、

  • 銀行の代表口座
  • 会計ソフト(freee/マネーフォワード)
  • クレジットカード管理画面
    が“社長1人のID”で登録されているケースが一般的。

パスワードが分からないだけで、
給与振込・支払い・入金確認が全て止まるという深刻な状況に陥ります。

ある会社では、社長が急病で入院した際にオンラインバンキングへ入れず、
「外注費が支払えない」「税理士へ資料が送れない」など、事務が完全に停止したという例もあります。


■ 2:ホームページの更新ができない

→ 契約更新ができず、知らないうちにサイトが消滅

意外と多いのが、
「ドメイン・サーバーの契約者が社長本人」
というケースです。

お名前.comやXserverの請求通知は、社長のメールアドレスに届きます。
そのメールが見られない状態になると、
気づかないうちにドメイン失効 → ホームページが消える
という最悪の事態が起きます。

実際に、10年以上運用していた会社サイトが突然“404エラー”になり、調べたら契約が停止されていた…という例は珍しくありません。
一度失効すると、ドメインを第三者に取られ、取り返せないこともあります。


■ 3:SNS・Googleビジネスが管理できなくなる

→ 集客経路が完全に途絶える

InstagramやFacebook、Googleビジネスプロフィールなど
“会社の情報発信の要”となるツールも、
実際は社長の個人アカウントに紐づいていることがほとんどです。

もしログインできなくなると、

  • 営業時間の変更ができない
  • 新商品やキャンペーンを発信できない
  • Google地図の情報が誤ったまま放置される
  • 荒らしコメントの削除ができない

といった問題が発生し、オンライン上の会社の信用が下がっていきます

飲食店・小売店・観光業などは特に影響が大きく、
「SNS更新が止まった=閉店?」
と誤解されるケースもあります。


■ 4:社内データが開けない

→ 顧客情報・見積・契約書が消えたも同然に

Google Drive・Dropbox・OneDriveなどのクラウドストレージは便利ですが、
アクセス権限が社長に集中していると、以下の事態が起こりやすくなります。

  • 過去の見積・契約書が取り出せない
  • 顧客データが見られない
  • 担当者が使っていたフォルダに入れない

ある企業では、社長のGoogleアカウントがロックされ、
“10年以上蓄積した顧客台帳”が開けなくなり、復旧に数十万円かかったケースもあります。


■ 5:AIツールや広告アカウントがブラックボックス化

→ ノウハウが丸ごと消失し、事業継続が不可能に

近年はChatGPT、Canva、Google広告、Meta広告など
AI・広告システムの利用が増えています。

これらのアカウント情報が引き継がれていないと、

  • 広告の設定が変更できない
  • 学習データが消える
  • 過去の分析レポートにアクセスできない

など、会社の“デジタルノウハウ”が失われる重大トラブルに発展します。

特に広告運用アカウントは、最悪の場合ログインできず、
広告停止 → 売上減少につながることもあります。


■ まとめ:デジタル遺産の放置は“会社の停止”につながる

デジタル資産は、形がないからこそ失われやすく、トラブルも一瞬で発生します。
多くの会社で起きている問題は、次の3つに集約されます。

  1. ログイン情報がわからない
  2. 契約更新に気づけない
  3. 権限が社長に集中している

デジタル終活は「死後の準備」ではなく、
会社を止めないための経営リスク対策です。

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